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寺西家阿倍野長屋について

大阪市阿倍野区阪南町に佇む寺西家阿倍野長屋は、昭和7年(1932年)に建てられた四軒長屋です。近代長屋として全国初の国の登録有形文化財に登録されたこの建物は、築90年を超えた今も、昭和初期の面影を静かに伝えています。

解体の危機を乗り越え、建築家・宮大工との協働による再生を経て、記憶の場として甦りました。長屋の歴史と建築的価値、そして次世代へ受け継ぐための再生プロジェクトをご紹介します。


寺西家阿倍野長屋の概要

建設年 昭和7年(1932年) 築90年以上の歴史を持つ木造2階建
文化財登録 近代長屋 全国初 平成15年(2003年)国の登録有形文化財に登録
受賞歴 大阪市都市景観建築賞 平成17年(2005年)市長賞を受賞

長屋は、町家(主屋)と向かい合って建っています。昭和の初めから、このまちの移ろいを静かに見守ってきた二つの建物。そこには、長い歳月を経てきたものだけが持つ、柔らかな時間が流れています。

私たちが願うのは、この懐かしい風景を、ありのままの姿で次の世代へ手渡すこと。建物に刻まれた記憶や、ここで生まれる人との縁を大切に紡ぎながら。これからも、この場所と共に穏やかに歩んでいければと思います。

寺西家阿倍野長屋・町家 寺西 興一

BEFORE / AFTER

再生前後の記録

解体寸前だった寺西家阿倍野長屋が、建築家・宮大工との協働によってどのように甦ったか。
スライダーを左右に動かして、再生前後の姿をご覧ください。

BEFORE 再生前 AFTER 再生後

「長屋とは何か?」という問いに、登録文化財・寺西家長屋の歴史を通して考えます。長屋建築がそのほとんどを占めた戦前の阪南町は、長屋に統一された「秩序ある景観」でした。しかし、戦後の社会変化に応じ個々の建替え等が進むにつれて、街並みは「混沌とした姿」へと変わっていきました。寺西家長屋は、そのような変遷の中で、建築当時の姿に大切に保存された登録文化財です。本動画を通じて、長屋が都市の景観に果たした役割と、街の歴史の移り変わりを感じてみてください。

寺西家長屋の歴史と価値

昭和初期、同じ土地に建てられた二つの建築。
これらが対となって残されたことで、かつての大阪の街区景観が今に伝わっています。

寺西家を構成する二つの建築

主屋
寺西家住宅(主屋)
1926年(大正15年)建設
戸建住宅(主屋)

当時流行していた洋式の応接間やプライバシーを重視した中廊下を持つ、大正期の先進的な住宅様式でした。

長屋の向かいに建ち、家主が住まう「住宅」として、長屋と対になる関係で昭和町の歴史的景観を形成しています。

国登録有形文化財 長屋とセットで、街の歴史を立体的に伝える
長屋
寺西家阿倍野長屋
阪南区画整理事業完了後の1932年(昭和7年)建設
四軒長屋

4つの住戸が連なる形式でした。棟の中央に防火壁で区切られ、各戸が塀で囲われ、独立した玄関と庭を持つ「塀型長屋」です。

当時としては、給排水設備や電気設備に加え、先進的な都市ガスが通り、ガス風呂、ガス台などの台所などの設備を完備し、豊かな暮らしができる住まいとして建てられました。

近代長屋初の国登録有形文化財 大阪市都市景観建築賞(市長賞)受賞
二つの建物の位置関係

長屋の構造的特徴

寺西家阿倍野長屋の配置構造
裏・汲み取り道(奥)
坪庭
玄関
坪庭
玄関
坪庭
玄関
坪庭
玄関
▼ 表通り
寺西家阿倍野長屋 見取り図

各住戸は、床下から天井裏まで壁で仕切られており、防火および遮音に配慮されています。
建物中央には防火壁が設けられ、4戸の長屋全体を二つのブロックに分けています。各戸には坪庭と独立した玄関があり、プライバシーと快適性が両立した構成になっています。

01

木造2階建構造

1階は茶の間を中心とした生活空間、2階は寝室や客間として使用。入母屋造の瓦屋根が、昭和初期の様式を今に伝えています。

02

防火・遮音に配慮した構造

各住戸は、床下から天井裏まで壁で区切られており、防火と遮音に配慮された構造になっています。さらに建物中央に防火壁が設けられ、長屋全体を二つのブロックに分けることで、火災時の延焼リスクを抑える工夫が見られます。

03

汲み取り道

裏手(図の上部)から外へ出られる「汲み取り道」は、大阪の長屋特有の生活動線です。 トイレの汲み取りの際にも、表玄関や居室(茶の間など)を通ることなく作業ができるよう工夫された通路で、衛生面や生活の利便性に配慮された重要な役割を担っていました。

04

坪庭と採光

各戸の背面側(奥)には坪庭が配置され、自然光と通風を確保。狭い敷地でも快適な住環境を実現する工夫が随所に見られます。

05

塀式長屋

表通りに各戸ごとに玄関部を設け、門・前庭・玄関を伴う構えを持っています。長屋形式としては「塀式長屋」に分類され、連棟でありながら独立性と格式を感じさせる顔立ちが特徴です。

06

近代的な設備

上下水道はもちろん、電気、都市ガス、風呂、台所など、当時としては先進的な設備を完備。一般的な貸家というよりも、豊かな暮らしができる長屋として計画されたことがうかがえます。

登録文化財としての価値

1932
建設年

昭和7年(1932年)建設の木造2階建で、約90年以上の歴史を持ち、戦前の大阪の住宅様式を今に伝えています。

構造
四軒長屋

4つの住戸が壁を共有しながら横に連なる四軒長屋です。各戸が独立した玄関と庭を持ち、通りに対して整然とした長屋のファサードを形づくっています。

2003
文化財登録

平成15年(2003年)12月1日、国の登録有形文化財に登録された。そして2006年(平成17年)に大阪市都市景観建築賞(市長賞)を受賞し、その価値が認められました。近代長屋が国の登録有形文化財となった全国初の事例です。

全国初

歴史を変えた第一歩
長屋の価値を再定義

近代長屋が国の登録有形文化財となった全国初の事例です。

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